在校生のM.Kです。
時間が経ってしまいましたが、今回は、私が参加したMIINT (MBA Impact Investing Network & Training) competitionについて、その魅力と学びを共有したいと思います。
Introduction
MIINTは、世界中のトップビジネススクールのMBA生に、インパクト投資について学び実践する機会を提供するプログラムです。参加者は実在の企業に対してデューデリジェンスを行い、ピッチし、優勝すれば最大5万ドルの投資を勝ち取ることができます。
このプログラムは、Bridges Impact FoundationとThe Wharton School(https://esg.wharton.upenn.edu/students/turner-miint/ )が共同で運営しており、インパクト投資の次世代リーダー育成を目的としています。毎年、世界中から600人以上の学生が参加し、インパクト投資の理論と実践を学んでいます。
MIINTは、Oxford Saïd Business Schoolからは1チームのみが最終ラウンドに進むことができ、Wharton Business Schoolでのプレゼンテーションの機会が与えられます。
特に言語面から若干のハンデがある日本人としてはHilary termにコンペにも参加するのは忙しさの面できつかったですが、インパクト投資に関する知識と体験ができるという意味では非常に優れたプログラムで、MBAを通じて楽しかった思い出の一つです。
Oxford Saïdでは15以上のチームがこの競争に参加しましたが、幸運にも所属チームが選ばれ、このユニークな経験をする機会を得ました。
MIINTでの経験
プログラムでは各人が集まり自由にチームを組んでおり、私の所属したチームは、様々なバックグラウンドを持つ5人(インドでの政府系経験を持つ2人、コロンビアの年金基金の勤務経験を有する子、南アフリカの医療系企業勤務経験者と私)でした。MIINTではチームがバランスよく専門性を生かせることがポイントだったなと感じます。
就職活動やクラスへのモチベーションがそれぞれ異なる中、当初はなかなか温度感がそろわないこともあり、難しいと感じることもしばしばでしたが、振り返ってみると長期的に継続的にミーティングを持ち、温度感をなるべくそろえながら一歩一歩やっていこうという気概のあるチームだったと思います。
MIINTの核心部分は、実際のスタートアップ企業に対するデューデリジェンス(DD)とピッチでしたが、ソーシングも自分たちで行います。
学校によっては去年のMIINTの参加者たちがプールしてた企業群からコンタクトを取ったという人たちもいた中で、私たちは、引き継がれているものもなく笑、一から探す状態。各自Linkedinに投稿したり知人を頼るなどして投資できそうな企業を探しました。
私のチームは南アフリカで、AI技術を用いて結核のスクリーニングプロセスの精度を上げ、簡易スクリーニングを可能にする医療テック企業AI Diagnosticsを選びました。結核は世界で最も致死率の高い感染症の一つであり、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも掲げられている重要な課題です。
振り返るとこのソーシングプロセスすら、Oxfordならではだったなと感じます。チームメンバーがソーシングしてたのですが、彼女は、隣人がAI Diagnosticsにアドバイスをしている医学博士だったことからこの企業を知ったとのこと。
ビジネススクールのみならず様々な研究をしている人が所属し住んでいるOxfordならではだったのかもと振り返ると思います。
インターナルプレゼンテーション
Oxford Saïd内での選考を通過するため、教授陣や投資の専門家の前でプレゼンテーションを行いました。
幸運にもチームの努力が実を結び、15チーム強の中から最終的に学校代表として選ばれました。が、当然ながら予選会場である大きな講堂でプレゼンするのは初めてで、暗記したにも関わらず頭が真っ白になるのが怖くてメモを見てしまったのが反省点です。
インターナルコンペでの審査員からの、フィードバックは今でも覚えています。
「メモや画面を見るな、語れ。この企業を信じてるなら、投資してほしいなら、この企業のストーリーを語り、売るんだ、you have to sell.」
当時はネイティブじゃないんだから勘弁してくれと思ったものですが、今思うと非常に貴重なフィードバックでした。
Whartonでの最終プレゼンテーション
インターナルコンペの優勝もつかの間、授業が重なる中最終プレゼンに向けてはさらに忙しかったように思います。
Whartonでの本番に向けては、春休み返上の状況で毎日引きこもり、作業(40ページ以上の投資メモの作成)とプレゼン練習にあけくれることになりました。メンターになった去年の学生からは、40回はピッチ練習したと電話で言われましたが、確実にそれ以上練習した気がします。
Wharton Business Schoolでの最終ラウンドは、世界中のトップビジネススクールのチームが5~6チームずつクラスに分けられて、それぞれのインパクト投資提案を発表しました。残念なことにチーム中3人がビザの問題で現地参加できず、2人でプレゼンと質疑応答をすることになってしまいましたが、審査員からの質問に答える経験は、財務リターンと社会的インパクトのバランスの重要性を改めて認識させてくれました。
MIINT vs Other MBA Competitions
もちろんMBA中は他のコンペも無数にあり、私はMIINTの他にもう一つ友人と参加しましたが、実務との近さという観点ではMIINTが群を抜いていたような気がします。
実務に近い経験が得られる
MIINTでは、実在のスタートアップ企業に対してデューデリジェンスを行い、投資提案を作成します。これは、実際のインパクト投資家の業務に非常に近い経験であり、教室で学ぶ理論を実践に移す貴重な機会となります。
本選に進出すれば、Wharton Business Schoolでプレゼンテーションができる
各参加校の代表チームは、Wharton Business Schoolで開催される本選に進むことができます。そこでは、世界中のトップビジネススクールの学生たちと競い合い、経験豊富な投資家たちからフィードバックを得ることができます。これは、自分たちのアイデアを試し、ネットワークを広げる絶好の機会です。
充実した学習プログラム
MIINTの参加者は、9つのモジュールから構成されるオンラインラーニングプラットフォームにアクセスできます。これらのモジュールでは、インパクト投資の基礎から、デューデリジェンスの方法、インパクト測定の考え方まで、幅広いトピックを学ぶことができます。また、定期的にオンラインセッションが開催され、他校の学生や実務家とのディスカッションを通じて理解を深めることができます。
Career Impact
他方でキャリアへの面については、mixedな結論かなとは思います。
インパクト投資はニッチでありポストが少ない中でも人気度は高くポスト争いが常な気がするので、MIINTに参加したからこれを皮切りになにが起きる、というものではないのではないかと感じています。また、VC出身者からしたら新しい学びは少ないのかもしれません。
他方で面接でMIINTでの経験を話すことがプラスになることも十分にあると思いますので、そのあたりは人それぞれかなと。
結論
MIINTへの参加は、MBA生活の中でも特に価値ある経験となりました。インパクト投資の理論と実践を学ぶだけでなく、グローバルな視点を養い、素晴らしいネットワークを築くことができました。
MIINTへの参加がキャリアチェンジにつながるとは、正直言い切れないですが、貴重な経験だったのは間違いないと思っています。
参考リンク:
Student team using tech to tackle tuberculosis will represent University of Oxford at global impact investing competition, could win $50,000 | Saïd Business Schoolhttps://www.sbs.ox.ac.uk/news/student-team-using-tech-tackle-tuberculosis-will-represent-university-oxford-global-impact-investing-competition-could-win-50000
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